危険物に関する法令

2023年11月30日

Pocket

目次

消防法の法体系

法律:消防法

政令:危険物の規制に関する政令

省令:危険物の規制に関する規則

危険物取扱者免状は、消防法の規定により危険物取扱者試験に合格し、免状を申請した者に対して都道府県知事が交付します。

 

法令で定める危険物

消防法別表第1

火災や爆発の危険性がある物質に限られます。

危険性については、危険物の類ごとに政令で定められた試験で判断。

液体:1気圧・20度において液状であるものまたは、20度を越え40度以下で液状のもの。

引火性固体:固形アルコールその他一気圧において引火点が40度未満のものをいいます。

鉄粉:鉄の粉(53μmのふるいを通過するものが50%未満のものを除く)。

金属粉:アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄及びマグネシウム以外の金属の粉。

(銅粉、ニッケル粉、150μmのふるいを通過するものが50%未満のものを除く。)

類別 性質 品名
第1類 酸化性固体 1.塩素酸塩類
2.過塩素酸塩類
3.無機過酸化物
4.亜塩素酸塩類
5.臭素酸塩類
6.硝酸塩類
7.よう素酸塩類
8.過マンガン酸塩類
9.重クロム酸塩類
10.その他のもので政令で定めるもの
11.前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの
固体であって、酸化力の潜在的な危険性を判断するための政令で定める試験において政令で定める性状を示すもの又は衝撃に対する敏感性を判断するための政令で定める試験において政令で定める性状を示すものであることをいう。
第2類 可燃性固体 1.硫化りん
2.赤りん
3.硫黄
4.鉄粉
5.金属粉
6.マグネシウム
7.その他のもので政令で定めるもの
8.前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの
9.引火性固体
固体であって、火炎による着火の危険性を判断するための政令で定める試験において政令で定める性状を示すもの又は引火の危険性を判断するための政令で定める試験において引火性を示すものであることをいう。
第3類 自然発火性物質及び禁水性物質 1.カリウム
2.ナトリウム
3.アルキルアルミニウム
4.アルキルリチウム
5.黄りん
6.アルカリ金属(カリウム及びナトリウムを除く、)及びアルカリ土類金属
7.有機金属化合物(アルキルアルミニウム及びアルキルリチウムを除く。)
8.金属の水素化物
9.金属のりん化物
10.カルシウム又はアルミニウムの炭化物
11.その他のもので政令で定めるもの
12.前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの
固体又は液体であって、空気中での発火の危険性を判断するための政令で定める試験において政令で定める性状を示すもの又は水と接触して発火し、若しくは可燃性ガスを発生する危険性を判断するための政令で定める試験において政令で定める性状を示すものであることをいう。
第4類 引火性液体 1.特殊引火物
2.第1石油類
3.アルコール類
4.第2石油類
5.第3石油類
6.第4石油類
7.動植物油類
液体(第3石油類、第4石油類及び動植物油類にあっては、1気圧において、温度20度で液状であるものに限る。)であって、引火の危険性を判断するための政令で定める試験において引火性を示すものであることをいう。
第5類 自己反応性物質 1.有機過酸化物
2.硝酸エステル類
3.ニトロ化合物
4.ニトロソ化合物
5.アゾ化合物
6.ジアゾ化合物
7.ヒドラジンの誘導体
8.ヒドロキシルアミン
9.ヒドロキシルアミン塩類
10.その他のもので政令で定めるもの
11.前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの
固体又は液体であって、爆発の危険性を判断するための政令で定める試験において政令で定める性状を示すもの又は加熱分解の激しさを判断するための政令で定める試験において政令で定める性状を示すものであることをいう。
第6類 酸化性液体 1.過塩素酸
2.過酸化水素
3.硝酸
4.その他のもので政令で定めるもの
5.前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの
液体であって、酸化力の潜在的な危険性を判断するための政令で定める試験において政令で定める性状を示すものであることをいう。

初めて勉強する人は、品名まで覚えるの?と思うかも知れませんが・・・覚えるのです!

 

消防法別表第1の性質欄で、複数性状物品(2以上の性状を有する場合)の品名

総務省令で定められている。

第1類&第2類なら、第2類
第1類&第5類なら、第5類
第2類&第3類なら、第3類
第3類&第4類なら、第3類
第4類&第5類なら、第5類

複数性状物品は、数字が大きい方の類とする。ただし、第3類は第4類よりも優先される、と覚えよう。

 

第4類

消防法別表において、第4類・引火性液体の品名を定義している。

第4類の分類 特徴
特殊引火物 発火点100℃以下のもの、引火点-20℃以下 沸点40℃以下のもの
ジエチルエーテル、二硫化炭素など
第1石油類 引火点21℃未満のもの
アセトン、ガソリンなど
アルコール類 炭素数1~3の飽和1価アルコール(変性アルコールを含む)
第2石油類 引火点21℃以上70℃未満のもの
灯油、軽油など
第3石油類 引火点70℃以上200℃未満のもの
重油、クレオソート油など
第4石油類 引火点200℃以上250℃未満のもの
ギアー油、シリンダー油など
動植物油類 動物の脂肉等又は植物の種子若しくは果肉から抽出したもので引火点250℃未満のもの

残念ながら、この表も暗記対象で、特に引火点は覚えよう!

 

危険物の指定数量

指定数量は、「危険物についてその危険性を勘案して政令で定める数量」(消防法第9条の3)とされています。

危険物の指定数量

類別 品   名 危険物物品の例 指定数量
第1類 酸化性固体 1 塩素酸塩類 第1種酸化性固体 塩素酸カリウム 50kg
2 過塩素酸塩類 塩素酸ナトリウム
3 無機過酸化物 過塩素酸ナトリウム
4 亜塩素酸塩類 亜塩素酸ナトリウム
5 臭素酸塩類 臭素酸ナトリウム
6 硝酸塩類 過酸化カルシウム
7 よう素酸塩類 過マンガン酸カリウム
8 過マンガン酸塩類 亜硝酸カリウム
9 重クロム酸塩類 過酸化亜鉛
10 その他政令で定めるもの 第2種酸化性固体 300kg
(1)過よう素酸塩類
(2)過よう素酸
(3)クロム、鉛又はよう素の酸化物
(4)亜硝酸塩類
(5)次亜塩素酸塩類
(6)塩素化イソシアヌル酸
(7)ペルオキソ二硫酸塩類
(8)ペルオキシほう酸塩類
11 前各号のいずれかを含有するもの 第3種酸化性固体 硝酸アンモニウム 1,000kg
重クロム酸カリウム
第2類 可燃性固体 1 硫化りん 硫化りん 100kg
2 赤りん 赤りん
3 硫黄 硫黄
4 鉄粉 鉄粉 500kg
5 金属粉 第1種可燃性固体 アルミニウム粉 100kg
6 マグネシウム マンガン粉
7 その他政令で定めるもの チタニウム粉
8 前各号のいずれかを含有するもの 亜鉛粉
マグネシウム粉
第2種可燃性固体 500kg
9 引火性固体 固形アルコール 1,000kg
マグネシウムエチラート
第3類 自然発火性物質及び禁水性物質 1 カリウム カリウム 10kg
2 ナトリウム ナトリウム
3 アルキルアルミニウム アルキルアルミニウム
4 アルキルリチウム アルキルリチウム
5 黄りん 黄りん 20kg
6 アルカリ金属(カリウム及びナトリウム除く。)及びアルカリ土類金属 第1種自然発火性物質及び禁水性物質 リチウム(粉状) 10kg
7 有機金属化合物(アルキルアルミニウム及びアルキルリチウムを除く。)
8 金属の水素化合物
9 金属のりん化物
10 カルシウム又はアルミニウムの炭化物
11 その他政令で定めるもの
(1)塩素化けい素化合物
12 前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの 第2種自然発火性物質及び禁水性物質 バリウム 50kg
カルシウム
水素化ナトリウム
水素化リチウム
トリクロロシラン
リチウム(塊状)
第3種自然発火性物質及び禁水性物質 水素化ほう酸ナトリウム 300kg
第4類 引火性液体第4類引火性液体 1 特殊引火物 二硫化炭素 50ℓ
アセトアルデヒト
ジエチルエーテル
酸化プロピレン
ペンタン
2 第1石油類 非水溶性液体 ガソリン 200ℓ
ベンゼン
トルエン
ヘキサン
メチルエチルケトン
アクリロニトリル
水溶性液体 アセトン 400ℓ
ブチルアルコール
ピリジン
3 アルコール類 メチルアルコール 400ℓ
エチルアルコール
n-プロピルアルコール
4 第2石油類 非水溶性液体 灯油、軽油 1,000ℓ
キシレン
スチレン
エチルベンゼン
水溶性液体 ぎ酸、酢酸 2,000ℓ
乳酸エエチル
アクリル酸
5 第3石油類 非水溶性液体 重油 2,000ℓ
クレオソート油
アニリン
水溶性液体 グリセリン 4,000ℓ
エチレングリコール
6 第4石油類 ギヤー油 6,000ℓ
マシン油
シリンダー油
7 動植物油類 ヤシ油、アマニ油 6,000ℓ
第5類 自己反応性物質 1 有機過酸化物 第1種自己反応性物質 ニトロセルロース 10kg
2 硝酸エステル類 アジ化ナトリウム
3 ニトロ化合物 トリニトロトルエン
4 ニトロソ化合物 ピクリン酸
5 アゾ化合物 第2種自己反応性物質 硫酸ヒドラジン 100kg
6 ジアゾ化合物 ニトロエタン
7 ヒドラジンの誘導体
8 ヒドロキシルアミン
9 ヒドロキシアルミン塩類
10 その他政令で定めるもの
(1)金属のアジ化物
(2)硝酸グアニジン
11 前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの
第6類 酸化性液体 1 過塩素酸 過塩素酸 300kg
2 過酸化水素 過酸化水素
3 硝酸 硝酸
4 その他政令で定めるもの
(1)ハロゲン間化合物
5 前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの

残念なことに、これも暗記です。

ただし、指定数量だけ注目すれば良いので、思ったよりかは負担は少ないです。

代表的な物品名を覚えておく必要もあります。

指定数量の倍数

指定数量の倍数とは、貯蔵・取り扱う危険物の量が指定数量の何倍であるかを表すものです。

「貯蔵又は取り扱う危険物の量」を「その危険物の指定数量」で除することで求めることができます。

危険物の貯蔵・取扱い量(L)÷危険物の指定数量(L)=指定数量の倍数

「kg」表記の場合は、重さ(kg)÷比重で量(L)に換算してから、指定数量の倍数を計算。

複数種類ある場合は、分類ごとの指定数量の倍数を計算し、求めた指定数量の倍数を合算します。

指定数量については、計算問題が出ます。指定数量を覚えておき、問題文中の数量から倍数を求めたり、逆算ができるようになっておくようにしましょう。

 

製造所等の区分

・製造所:危険物を製造(合成・分解)する施設です。
・貯蔵所:危険物をドラム缶やタンク等に入れて貯蔵する施設でありさらに7つに分けられます。
・取扱所:給油、販売、移送などのため他の容器に移し替えるなど製造目的以外で、危険物を取扱う施設で、さらに4つに分けられます。

 

製造所等の区分

製造所 危険物を製造する施設
貯蔵所 屋内貯蔵所 屋内の場所において、危険物を貯蔵し、又は取り扱う施設
屋外タンク貯蔵所 屋外にあるタンクにおいて危険物を貯蔵し、又は取り扱う施設
屋内タンク貯蔵所 屋内にあるタンクにおいて危険物を貯蔵し、又は取り扱う施設
地下タンク貯蔵所 地盤面下に埋没されているタンクにおいて危険物を貯蔵し、又は取り扱う施設
簡易タンク貯蔵所 簡易タンクにおいて危険物を貯蔵し、又は取り扱う施設
移動タンク貯蔵所 車両に固定されたタンクにおいて危険物を貯蔵し、又は取り扱う施設
屋外貯蔵所 屋外の場所において第二類の危険物のうち硫黄、硫黄のみを含有するもの若しくは引火性固体(引火点が0度以上のものに限る。)又は第四類の危険物のうち第一石油類(引火点が0度以上のものに限る。)、アルコール類、第二石油類、第三石油類、第四石油類若しくは動植物油類を貯蔵し、又は取り扱う施設
取扱所 給油取扱所 固定した給油設備(航空機への給油については、車両に設けられた給油設備に含む。)によって自動車等の燃料タンクに直接給れた給油設備に含む。)によって自動車等の燃料タンクに直接給油するため危険物を取り扱う施設(当該取扱所において併せて灯油若しくは軽油を容器に詰め替え、又は車両に固定された容量4千リットル以下のタンク(容量2千リットルを超えるタンクにあっては、その内部を2千リットル以下ごとに仕切ったものに限る。)に注入するため固定した注油設備によって危険物を取り扱う取扱所を含む。)
販売取扱所 店舗において容器入りのままで販売するため危険物を取り扱う施設
第一種販売取扱所・・・・・指定数量の倍数が15以下
第二種販売取扱所・・・・・指定数量の倍数が15を超え40以下
移送取扱所 配管及びポンプ並びにこれらに附属する設備によって危険物を移送するため危険物を取り扱う施設
一般取扱所 給油取扱所、販売取扱所、移送取扱所以外で危険物を取り扱う施設

 

製造所等における数量制限

製造所等 制限容量・指定数量の倍数
屋内タンク貯蔵所 指定数量40倍以下
※第4石油類または動植物油類以外の第4類を貯蔵する場合は20,000リットル以下
簡易タンク貯蔵所 1基600リットル以下(3基まで)
※同一の危険物は2基までしか設置できません。
移動タンク貯蔵所 30,000リットル以下
販売取扱所 第1種販売取扱所 指定数量が15倍以下
第2種販売取扱所 指定数量が15を超え40倍以下

 

製造所等の設置と変更の許可

製造所等を設置しようとする者は、施設ごとに、その区分に応じて市町村長等(市町村長、都道府県知事又は総務大臣)に申請し、許可を受けなければなりません。

また変更する場合も市町村長等の許可が必要になりますが、許可権者は製造所等の設置場所により異なります。

各種基準を満たした場合は、「許可を与えなければならない」とされています。

許可を受けてから工事に着手しなければならない。

製造所等の設置・変更の申請先

製造所等 設置・変更場所の条件 申請先
移送取扱所以外 消防本部・消防署がある市町村 市町村長
消防本部・消防署がない市町村 都道府県知事
移送取扱所以外 消防本部・消防署がある市町村で、その区域のみに設置 市町村長
消防本部・消防署がない市町村か、2以上の市町村にわたって設置 都道府県知事
2以上の都道府県にわたって設置 総務大臣

 

設置許可・変更申請について

設置・変更について、申請書を提出する際の記載事項。

記載事項 設置 変更
氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては,その代表者の氏名及び住所
製造所等の別及び貯蔵所又は取扱所にあつては,その区分
製造所等の設置の場所(移動タンク貯蔵所にあつては,その常置する場所)
貯蔵し,又は取り扱う危険物の類,品名及び最大数量
指定数量の倍数
製造所等の位置,構造及び設備
危険物の貯蔵又は取扱いの方法
製造所等の着工及び完成の予定期日
変更の内容
変更の理由

申請書には,製造所等の位置,構造及び設備に関する図面その他総務省令で定める書類を添付しなければならない。

 

移送取扱所の設置場所

移送取扱所は、次の場所に設置してはいけないとされています。

・震災時のための避難空地
・鉄道及び道路の隧道内(トンネル内)
・高速自動車国道及び自動車専用道路の車道、路肩及び中央帯並びに狭あいな道路
・河川区域及び水路敷
・利水上の水源である湖沼、貯水池等
・急傾斜地崩壊危険区域
・山崩壊防止区域
・海岸保全施設及びその敷地

 

完成検査と仮使用

本来であれば、工事完了し、完成検査を受けた後でないと使用できないが、仮使用をすることができる場合があります。

 

完成検査

危険物製造所等の設置又は変更の許可を受けた場合、当該危険物製造所等を設置又は変更した場合は、市町村長等が行う完成検査を受け、技術上の基準に適合していると認められた後でなければ使用できません。

完成検査が終ると、完成検査済証が交付されます。

 

仮使用

危険物施設が変更許可を受けた場合、この変更許可に係る工事が開始された後は危険物施設の使用が禁止され、この禁止は完成検査終了時(完成検査済証交付時)まで継続されます。
しかし、危険物施設の一部に変更の工事が開始された場合に、工事中の安全が確保される場合に限り、変更許可に伴う変更工事に係る部分以外の部分の全部又は一部について、使用することに対して承認を受けた部分を仮に使用することができます。

 

完成検査前検査

液体の危険物を扱うタンクを設置又は変更しようとする者は、完成検査を受ける前に、完成検査前検査を受ける義務があるとされています。
完成検査前検査は、施設が完成した後では確認できない部分を工事の進捗状況に合わせて市町村長等が実施する検査のため、完成前に実施する必要があります。

完成検査前検査の対象施設

対象施設
製造所及び一 般取扱所
液体の危険物を貯蔵し、又は取り扱 う貯蔵所 屋内タンク貯蔵所
屋外タンク貯蔵所
簡易タンク貯蔵所
地下タンク貯蔵所
移動タンク貯蔵所
給油取扱所

指定数量以上のタンクを有しない製造所及び一般取扱所を除く。

完成検査前検査

完成検査前検査のうちタンク本体に関する工事の工程の「漏れ及び変形に関する事項」の検査として、タンクの「水張検査」又は「水圧検査」があります。

 

製造所等の変更の届出

製造所等に変更が生じた場合、市町村等に届け出る義務がある。

届出を必要とする手続き 内容 申請期限 届出先
製造所等の譲渡または引渡し 製造所等の譲渡または引渡があった場合は、譲受人または引渡を受けた者は、遅滞なく市町村長に届け出なければならない 遅滞なく 市町村長等
製造所等の用途の廃止 製造所等の所有者、管理者または占有者は、製造所等の用途を廃止したときは、遅滞なく市町村長に届け出なければならない 遅滞なく
危険物の品名、数量、指定数量の倍数の変更 製造所等の位置、構造又は設備を変更しないで、製造所等で貯蔵し、または取り扱う危険物の品名、数量、指定数量の倍数を変更しようとする者は、変更しようとする日の10日前までに、市町村長等に届け出なければならない。 変更しようとする日の10日前まで
危険物保安監督者の選任、解任 製造所等の所有者、管理者または占有者は、危険物保安監督者の選任・解任を行ったときは、遅滞なく市町村長等に届け出なければならない。 遅滞なく
危険物保安統括管理者の選任、解任 製造所等の所有者、管理者または占有者は、危険物保安統括管理者の選任・解任を行ったときは、遅滞なく市町村長等に届け出なければならない。 遅滞なく

 

危険物取扱者の制度

法第十三条第一項の危険物保安監督者は、危険物の取扱作業に関して保安の監督をする場合は、誠実にその職務を行わなければならない。

2 危険物取扱者は、危険物の取扱作業に従事するときは、法第十条第三項の貯蔵又は取扱いの技術上の基準を遵守するとともに、当該危険物の保安の確保について細心の注意を払わなければならない。

3 甲種危険物取扱者又は乙種危険物取扱者は、危険物の取扱作業の立会をする場合は、取扱作業に従事する者が法第十条第三項の貯蔵又は取扱の技術上の基準を遵守するように監督するとともに、必要に応じてこれらの者に指示を与えなければならない。

危険物取扱者以外の者は、甲種危険物取扱者または、乙種危険物取扱者が立ち会わなければ、危険物の取扱作業を行なってはならない。

 

免状区分

危険物取扱者とは、危険物取扱者試験に合格し、免状の交付を受けている者のことをいいます。

危険物取扱者の免状は、甲種・乙種・丙種の3種類に区分されています。

区分 取り扱いできる危険物 取扱作業の立会い 危険物保安監督者になるための条件
甲種 すべての危険物 すべての危険物 6か月以上の実務経験
乙種 取得した類の危険物 取得した類の危険物 6か月以上の実務経験
丙種 第4類のうち指定された危険物 不可 選任不可

丙種危険物取扱者が取り扱うことのできる危険物(第4類のうち指定された危険物)は以下の通りです。

ガソリン
灯油
軽油
重油
潤滑油
引火点130℃以上の第3石油類
第4石油類
動植物油類

 

指定数量未満の危険物の取扱

指定数量未満の場合、場所と立会い者、取扱作業者に要件がある。

製造所等:甲種・乙種・丙種の危険物取扱者の取扱作業が必要

甲種・乙種危険物取扱者の立ち会いでの取扱作業が必要

製造所以外:不要

 

免状

免状は、危険物取扱者の試験に合格した者が、受験地の都道府県知事に対して申請することで交付されます。

書き換え・再交付も同様に都道府県知事に申請し、都道府県知事によって交付されます。

免状の申請等

手続き 申請自由 申請先 添付書
交付 試験に合格 受験した都道府県知事 合格を証明する書類
書換え 氏名の変更
本籍地の変更
免状の写真が10年経過
1. 免状を交付した都道府県知事 戸籍謄本
2. 居住地の都道府県知事 6か月以内の写真
3. 勤務地の都道府県知事
再交付 亡失・滅失・汚損・破損 1. 免状を交付した都道府県知事 汚損・破損した場合は免状
2. 書換えをした都道府県知事
その他 亡失した免状を発見したとき 再交付を受けた都道府県知事 発見した免状
※10日以内に提出する

書き換えの記載事項の変更が生じた場合は、遅滞なく申請しなければなりません。

 

免状の記載事項

免状には、次に掲げる事項が記載されています。

・免状の交付年月日及び交付番号
・氏名及び生年月日
・本籍地の属する都道府県
・過去10年以内に撮影した写真
・免状の種類並びに取り扱うことができる危険物及び甲種危険物取扱者又は乙種危険物取扱者がその取扱作業に関して立ち会うことができる危険物の種類

 

免状の返納命令と不交付

免許の返納

危険物取扱者免状を交付した都道府県知事は、消防法や消防法に基づく命令の規定に違反しているときは、危険物取扱者免状の返納を命ずることができます。

保安講習を受講しないなどが該当します。

返納を命じられた者は、ただちに資格を失います。

また、都道府県知事は、管轄する区域において、他の都道府県知事から危険物取扱者免状の交付を受けている危険物取扱者が消防法や消防法に基づく命令の規定に違反していると認めるときは、そのことを他の都道府県知事に通知しなければなりません。

 

免許の不交付

都道府県知事は、次の者に対して、危険物取扱者免状の交付を行わないことができます。

・危険物取扱者免状の返納を命ぜられ、その日から起算して1年を経過しない者
・消防法や消防法に基づく命令の規定に違反して罰金以上の刑に処せられた者で、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しない者

 

保安講習

保安講習とは、都道府県知事が行う危険物の取扱作業の保安に関する講習をいいます。

全国どこの都道府県であっても、受講することができます。

受講義務

製造所等で危険物の取扱作業に従事する危険物取扱者は定期的に受講する義務があります。

以下の場合には受講義務がありません。

・危険物の取扱取扱作業に従事していない危険物取扱者
・指定数量未満の施設における危険物取扱者(=製造所等に該当しないため)
・危険物取扱者ではなく、ただ危険物取扱作業に従事している者(=危険物取扱者の立会いの下で作業している者)

 

受講期限

区分 受講時期
新たに危険物の取扱作業に従事することになった場合 その日から1年以内に受講
継続して保安講習を受講する場合 前回受講日以降の最初の4/1から3年以内に受講
従事することになった日の過去2年以内に免状の交付を受けている場合 交付日以降の最初の4/1から3年以内に受講
従事することになった日の過去2年以内に受講している場合 受講日以降の最初の4/1から3年以内に受講

 

危険物保安監督者

危険物の取扱いに関して、危険物保安監督者、危険物施設保安員、危険物保安統括管理者の3つの役職があります。これらの役職を選任するのは、製造所等の所有者、管理者または占有者です。

政令で定める製造所等の所有者等は、危険物保安監督者を定めて危険物の取扱作業に関して保安の監督をさせなければいけません。

選任または解任したときは、遅滞なくその旨を市町村長等に届け出なければいけません。

同一事業所の敷地内に複数の製造所等がある場合には、それぞれの施設ごとに選任が必要です。

 

選任を要求する施設

選任を常に必要とする施設 条件で必要となる施設 選任を常に必要としない施設
製造所 指定数量30倍を超える屋外貯蔵所 移動タンク貯蔵所(タンクローリー)
屋外タンク貯蔵所 引火点40度未満の第4類危険物または第4類以外の危険物の販売取扱所
給油取扱所
移送取扱所

 

危険物保安監督者の業務

①危険物の取扱作業の実施に際し、技術上の基準、予防規程等の保安に関する規定に適合するように作業者に対し必要な指示を与えること。
②火災等の災害が発生した場合は、作業者を指揮して応急の措置を講ずるとともに、直ちに消防機関その他関係のある者に連絡すること。
③危険物施設保安員を置く製造所等では、危険物施設保安員に必要な指示を行う。また、危険物施設保安員を置かない製造所等では、危険物施設保安員の業務を自ら行う。
④火災等の災害の防止に関し、製造所等に隣接する製造所等その他の施設の関係者との間に連絡を保つこと。
⑤その他、危険物の取扱作業の保安に関し必要な監督業務

 

危険物施設保安員

危険物施設保安員とは、危険物保安監督者の指示の下で施設の保安業務・補佐を行う人のことをいいます。

政令で定める製造所等の所有者等は、危険物施設保安員を定めて製造所等の構造および設備に係る保安業務を行わせなければいけません。

 

選任を必要とする施設

保安監督者の補佐として保安員を選任するため、当然に規模が大きい製造所等となる。

選任を常に必要とする施設 指定数量条件
製造所 指定数量の倍数が100以上のとき危険物施設保安員を選任
一般取扱所 指定数量の倍数が100以上のとき危険物施設保安員を選任
移送取扱所 指定数量に関係なく、常に危険物施設保安員を選任

鉱山保安法などの適用を受ける施設は除く。

 

選任者の要件

選任要件は特にありません。

危険物取扱者でなくても選任者となれます。

製造所等の所有者、管理者または占有者が選任・解任しますが、市町村長へ届出は不要です。

 

危険施設保安員の業務

①製造所等の構造や設備を技術上の基準に適合するように維持するため、定期点検、臨時点検を行なうこと。
②点検を行なったときは、点検を行なった場所の状況や保安のために行なった措置を記録し、保存すること。
③製造所等の構造や設備に異常を発見した場合は、危険物保安監督者、その他関係者に連絡するとともに状況を判断して適当な措置を講ずること。
④火災が発生したとき、または火災発生の危険性が著しいときは、危険物保安監督者と協力して、応急の措置を講ずること。
⑤製造所等の計測装置、制御装置、安全装置等の機能が適正に保持されるようにこれを保安管理すること。
⑥その他、製造所等の構造及び設備の保安に関し必要な業務

 

予防規定

製造所等の所有者、管理者又は占有者は、製造所等の火災を予防するため、予防規程を定めなければならない。

予防規定とは、火災の予防のためにそれぞれの製造所等が実情にあわせて作成する自主予防についての規定のことです。

自主的な保安基準としての意義を有します。

 

認可と変更命令

製造所等の所有者等が予防規程を作成したとき、または変更するときは、市町村長等の認可が必要です。

市町村長等は、火災の予防のため必要があるときは、予防規程の変更を命ずることができます。

予防規程の認可を受けずに危険物を貯蔵または取り扱った場合、6月以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。

 

予防規定を定めなければならない製造所等

対象となる製造所等 危険物の数量
製造所 指定数量の10倍以上
屋内貯蔵所 指定数量の150倍以上
屋外貯蔵所 指定数量の100倍以上
屋外タンク貯蔵所 指定数量の200倍以上
一般取扱所 指定数量の10倍以上
給油取扱所 すべて(屋内の自家用給油取扱所を除く)
移送取扱所 すべて

 

予防規定に定める事項

予防規程に定めなければならない事項です。。

第60条の2 法第14条の2第1項に規定する総務省令で定めらています。

1.危険物の保安に関する業務を管理する者の職務及び組織に関すること。
2.危険物保安監督者が、旅行、疾病その他の事故によつてその職務を行うことができない場合にその職務を代行する者に関すること。
3.化学消防自動車の設置その他自衛の消防組織に関すること。
4.危険物の保安に係る作業に従事する者に対する保安教育に関すること。
5.危険物の保安のための巡視、点検及び検査に関すること。
6.危険物施設の運転又は操作に関すること。
7.危険物の取扱い作業の基準に関すること。
8.補修等の方法に関すること。
9.施設の工事における火気の使用若しくは取扱いの管理又は危険物等の管理等安全管理に関すること。
10.製造所及び一般取扱所にあつては、危険物の取扱工程又は設備等の変更に伴う危険要因の把握及び当該危険要因に対する対策に関すること。
11.顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所にあつては、顧客に対する監視その他保安のための措置に関すること。
12.移送取扱所にあつては、配管の工事現場の責任者の条件その他配管の工事現場における保安監督体制に関すること。
13.移送取扱所にあつては、配管の周囲において移送取扱所の施設の工事以外の工事を行う場合における当該配管の保安に関すること。
14.災害その他の非常の場合に取るべき措置に関すること。
15.地震が発生した場合及び地震に伴う津波が発生し、又は発生するおそれがある場合における施設及び設備に対する点検、応急措置等に関すること。
16.危険物の保安に関する記録に関すること。
17.製造所等の位置、構造及び設備を明示した書類及び図面の整備に関すること。
18.前各号に掲げるもののほか、危険物の保安に関し必要な事項。

 

定期点検

政令で定める製造所等の所有者等は、製造所等について定期に点検し、点検記録を作成し、保存しなければいけません。

定期点検は、製造所等の位置、構造および設備が技術上の基準に適合しているかどうかについて行います。
また、地下貯蔵タンク本体等及び地下埋設配管の漏洩は「危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示」で定められた方法で実施します。

定期点検実施者

原則として、危険物取扱者または危険物施設保安員が行わなければなりません。
ただし、危険物取扱者の立会いがあれば、危険物取扱者や危険物施設保安員以外の者でも定期点検を行うことができます。

漏洩点検は「知識及び技能を有する者に限る」とされています。

固定式の泡消火設備に関する点検も同様。

 

定期点検の対象施設

製造所等 検査対象条件となる指定数量、設備
製造所 10倍以上、地下タンクを有するもの
屋内貯蔵所 150倍以上
屋外タンク貯蔵所 200倍以上
屋外貯蔵所 100倍以上
地下タンク貯蔵所 全て
移動タンク貯蔵所 全て
給油取扱所 地下タンクを有するもの
移送取扱所 全て
一般取扱所 10倍以上、地下タンクを有するもの

地下タンクは目視しにくいため定期点検対象。
移動タンクは走行中に絶えず負荷が加わっているため点検対象。

定期点検が不要な製造所等は以下です。

製造所等 検査の必要性
屋内タンク貯蔵所 なし
簡易タンク貯蔵所 なし
販売取扱所 なし

ただし、地下貯蔵タンクおよび地下埋設配管の漏洩の点検は

・完成検査を受けた日から15年を超えないもの
・危険物の漏れを覚知しその漏えい拡散を防止するための措置が講じられているもの
については、3年に1回でよいこととされています。

定期点検の時期と記録

定期点検は、原則1年に1回以上行い、その点検記録を原則3年間保存しなければなりません。

内容 実施時期 保存期間
地下貯蔵タンク、地下埋設配管の漏洩点検 1年に1回以上 3年間
移動貯蔵タンクの漏洩点検 5年に1回以上 10年間
二重殻タンクの強化プラスチック製の外殻 3年に1回以上 3年間

*上記は原則であって、それ以外の条件もあったりしますが、試験にでるかどうかの基準で省略してます。

点検記録の記載事項

定期点検の記録は3年間保存します。

市町村長等や消防機関への届出は不要です。

点検記録には、以下の事項を記載します。

・点検した製造所等の名称
・点検の方法および結果
・点検年月日
・点検を行った者または立ち会った者の氏名

 

保安検査

政令で定める屋外タンク貯蔵所または移送取扱所の所有者等は、政令で定める時期ごとに、構造および設備が技術上の基準に適合しているかどうかについて市町村長等が行う保安に関する検査を受けなければいけません。

これを定期保安検査といいます。

政令で定める屋外タンク貯蔵所の所有者等は、不等沈下その他の事由が生じた場合には、市町村長等が行う保安に関する検査を受けなければいけません。

これを臨時保安検査といます。

 

保安検査の概要

対象 保安検査の対象 検査時期 検査事項
定期保安検査 ・特定屋外タンク貯蔵所(容量10,000kL以上) 8年に1回 液体危険物タンクの底部の板厚および溶接部
・移送取扱所(総延長15km超または配管の最大常用圧力が0.95MPa以上で総延長7~15km) 1年に1回 構造および設備
臨時保安検査 ・特定屋外タンク貯蔵所(容量1,000kL以上) タンクの直径に対する不等沈下の数値の割合が1%以上である場合 液体危険物タンクの底部の板厚および溶接部

 

保安距離

保安距離とは、危険物を保管している建物で火災や爆発が起こった際に、付近の建物に影響を及ぼさないように確保する一定の距離を指します。

保安距離が必要な製造所等
・製造所
・屋内貯蔵所
・屋外貯蔵所
・屋外タンク貯蔵所
・一般取扱所

保安距離を取るべき建築物等と保安距離

保安距離を取るべき建築物等 保安距離
① 特別高圧架空電線(7,000V超~35,000V以下) 3m(水平距離)
② 特別高圧架空電線(35,000V超) 5m(水平距離)
③ 住居(製造所等の敷地外にあるもの) 10m
④ 高圧ガス施設、液化石油ガス施設 20m
⑤ 学校(幼稚園から高校まで)、社会福祉施設、病院、劇場その他300人以上を収容する施設 30m
⑥ 重要文化財等の建造物 50m

 

保安空地

保有空地は、万一火災が発生した場合でも、周辺の建物や木々などに火が燃え移らないよう確保しておかなければならない空地のことを指しています。また、消防隊などがスムーズに消火活動を行えるようにするための空地も保有空地と呼ばれます。

 

保有空地が必要な製造所等

保有空地を必要とする製造所等は、以下の通り。

・製造所
・屋内貯蔵所
・屋外貯蔵所
・屋外タンク貯蔵所(屋外に設けるもの)
・一般取扱所
・簡易タンク貯蔵所
・移送取扱所(地上に設けるもの)

 

保有空地の幅

防火上有効な隔壁を設けたときは、この限りではありません。

また、保有空地に物品をおいてはなりません。

製造所等 数量等の条件 保有空地の幅(最小)
製造所、一般取扱所 指定数量の倍数が10以下 3m
指定数量の倍数が10を超える 5m
屋内貯蔵所 指定数量の倍数、建築構造に応じて保有空地の幅は異なる
屋外貯蔵所 指定数量の倍数に応じた幅の空地 10倍以下 3m以上
10~20以下 6m以上
20~50以下 10m以上
50~200以下 20m以上
200超 30m以上
屋外タンク貯蔵所 指定数量の倍数が4000以下は、指定数量の倍数、建築構造に応じて保有空地の幅は異なる
指定数量の倍数が4,000を超える タンクの水平断面の最大直径または高さのうち大きいもの以上(ただし、15m未満は不可)
屋外に設ける簡易タンク貯蔵所 タンク周囲に1m以上

 

製造所の基準

構造・設備・配管についてそれぞれ基準を満たす必要があります。

構造の基準

規則に定めるところにより、見やすい箇所に製造所である旨を表示した標識、防火に必要な事項を掲示した掲示板を設ける必要があります。

保安距離および保有空地を設ける。

構造部位 基準
地階 設けることができない
壁・柱・床・はり・階段など 不燃材料でつくり、延焼のおそれのある外壁は、出入口以外の開口部を有しない耐火構造とする
屋根 不燃材料で作り、金属板などの軽量な不燃材料でふく
窓・出入口 防火設備を設けるとともに、延焼のおそれのある外壁に設ける出入口は、自動閉鎖式の特定防火設備を設ける
ガラスを用いる場合は網入りガラスとする
危険物が浸透しない構造とし、適当な傾斜をつけ、漏れた危険物を貯留する設備を設ける

建築基準法において、不燃材料と耐火構造には、次のような違いがあります。

不燃材料:コンクリート、れんが、鉄鋼、アルミニウム、ガラス、モルタルなど不燃性を有する材料

耐火構造:鉄筋コンクリート造、れんが造など耐火性能を有する構造

 

設備の基準

設備 基準
採光・照明・換気 危険物の取扱いに必要な設備を設ける
蒸気排出 可燃性の蒸気や微粉が滞留するおそれがある場合、屋外の高所に排出する設備を設ける
温度測定装置等 加熱・冷却する設備などは、必要に応じ、温度測定装置や圧力計および安全装置などを設ける
直火を用いない 加熱・乾燥する設備などは直火を用いない構造とする。ただし、付帯設備を設けたときはこの限りではない。
加圧計・安全装置等 加圧する設備などは、圧力計や安全装置を設ける
避雷設備 指定数量が10以上の施設には設ける
電気設備 可燃性蒸気が滞留するおそれのある場所では防爆構造とする
静電気除去 静電気の発生するおそれのある設備には、接地など、静電気除去装置を設ける
電動機やポンプ、弁、接手等 支障のない位置に取り付けること

 

配管の基準

・配管に係る最大常用圧力の1.5倍以上の圧力で水圧試験を行ったときに漏えい等の異常がないこと
・取り扱う危険物により容易に劣化するおそれのないもの
・十分な強度を有するもの
・熱によって容易に変形するおそれのないもの
・配管の外面の腐食を防止する措置を講ずること
・地上に設置する場合、地盤面に接しないようにする
・地上に設置する場合、地震、風圧、地盤沈下、温度変化による伸縮等に対し、安全な構造の支持物で支持する
・地下に設置する場合、電気腐食のおそれのある場所では、塗覆装及びコーティングにより電気防食を行う
・地下に設置する場合、配管の接合部分からの危険物の漏れを点検できるようにする。また、地盤面にかかる重量が配管にかからないよう保護する

屋内貯蔵所の基準

屋内貯蔵所の構造・設備の基準
建物 独立した専用の建築物とする
掲示 見やすい箇所に屋内貯蔵所である旨を表示した標識及び防火に関し必要な事項を掲示した掲示板を設けること。
軒高 貯蔵倉庫は、地盤面から軒までの高さ(軒高)が6メートル未満の平家建とする
床面積 床面積は、1000㎡を超えないこと。
屋根 屋根を不燃材料で造るとともに、金属板その他の軽量な不燃材料でふき、かつ、天井を設けないこと。
壁・柱・床・梁 壁、柱及び床を耐火構造とし、はりを不燃材料で造るとともに、延焼のおそれのある外壁を出入口以外の開口部を有しない壁とすること。
床は地盤面以上に設けること。
液状の危険物を取り扱う建築物の床は、危険物が浸透しない構造とするとともに、適当な傾斜を付け、かつ、漏れた危険物を一時的に貯留する設備(貯留設備)を設けること。
窓・出入口 窓及び出入口には、防火設備を設けるとともに、延焼のおそれのある外壁に設ける出入口には、随時開けることができる自動閉鎖の特定防火設備を設けること。
窓又は出入口にガラスを用いる場合は、網入ガラスとすること。
架台 架台を設ける場合は、不燃材料で造るとともに、堅固な基礎に固定すること。
また、危険物を収納した容器が容易に落下しない措置を講ずること。
採光・照明・換気 危険物を取り扱うために必要な採光、照明及び換気の設備を設けること。
排出設備 引火点が70℃未満の危険物の貯蔵倉庫には、内部に滞留した可燃性の蒸気を屋根上に排出する設備を設けること。
避雷設備 指定数量の倍数が10以上の製造所には、避雷設備を設けること。

 

屋外タンク貯蔵所の基準

屋外に設置したタンクで危険物を貯蔵・取扱う施設のうち、地下タンク・簡易タンク・移動タンク以外のもの屋外タンク貯蔵所といいます。

貯蔵または取り扱う危険物の最大数量が1,000kl以上のものを「特定屋外貯蔵タンク」、500~1,000klのものを「準特定屋外貯蔵タンク」といいます。

これらの屋外貯蔵タンクは、基礎及び地盤、さらに各種試験において特に厳しい基準が適用されます。

屋外タンク貯蔵所の構造・設備の基準
掲示 見やすい箇所に屋外タンク貯蔵所である旨を表示した標識及び防火に関し必要な事項を掲示した掲示板を設けること。
容量・タンク 屋外貯蔵タンクは、厚さ3.2ミリメートル以上の鋼板で造るとともに、漏れや変形しないものであること。
外面には、さびどめのための塗装をすること。
危険物の量を自動的に表示する装置を設けること。
防油堤 液体の危険物の屋外貯蔵タンクの周囲には、危険物が漏れた場合にその流出を防止するための防油堤を設けること。周囲に設ける防油堤の容量は、タンクの容量の110%以上とすること。
2基以上の場合は、容量が最大であるタンクの容量の110%以上とすること。
防油堤の高さは、0.5メートル以上であること。
防油堤は、鉄筋コンクリート又は土で造り、危険物が防油堤の外に流出しない構造であること。
防油堤には、滞水を排水するための水抜口を設け、開閉する弁等を防油堤の外部に設けること。弁等の開閉状況を容易に確認できる装置を設けること。
高さが1mを超える場合は、おおむね30cmごとに階段を設置すること
通気管 圧力タンク以外のタンクには通気管を設ける。通気管は水平より下に曲げ、雨水の侵入を防ぐ構造にすること。
安全装置 圧力タンクには安全装置を設けること。
避雷設備 指定数量の倍数が10以上の製造所には、避雷設備を設けること。

 

屋内タンク貯蔵所の基準

屋内タンク貯蔵所の構造・設備の基準
掲示 見やすい箇所に屋内タンク貯蔵所である旨を表示した標識及び防火に関し必要な事項を掲示した掲示板を設けること。
建物・設置場所 屋内貯蔵タンクは、平家建の建築物に設けられたタンク専用室に設置
屋内貯蔵タンクとタンク専用室の壁との間は0.5メートル以上の間隔を保つこと。
2以上設置する場合におけるそれらのタンクの間は0.5メートル以上の間隔を保つこと。
容量・タンク 外面には、さびどめのための塗装をすること。
屋内貯蔵タンクの容量は、指定数量の40倍以下であること。ただし、第4類にあっては20,000l以下であること。
危険物の量を自動的に表示する装置を設けること。
屋根 屋根を不燃材料で造り、かつ、天井を設けないこと。
壁・柱・床・梁 壁、柱及び床を耐火構造とし、かつ、はりを不燃材料で造るとともに、延焼のおそれのある外壁を出入口以外の開口部を有しない壁とすること。
引火点が70℃以上の第4類の危険物のみの屋内貯蔵タンクを設置するタンク専用室にあつては、延焼のおそれのない外壁、柱及び床を不燃材料で造ることができる。
液状の危険物の屋内貯蔵タンクを設置するタンク専用室の床は、危険物が浸透しない構造とするとともに、適当な傾斜を付け、かつ、貯留設備を設けること。
窓・出入口 窓及び出入口には、防火設備を設けるとともに、延焼のおそれのある外壁に設ける出入口には、随時開けることができる自動閉鎖の特定防火設備を設けること。
窓又は出入口にガラスを用いる場合は、網入ガラスとすること。
出入口のしきいの高さは、床面から0.2メートル以上とすること。
採光・照明・換気 危険物を取り扱うために必要な採光、照明及び換気の設備を設けること。
通気管 圧力タンク以外のタンクには通気管を設ける。
屋外に地上4メートル以上の高さで設置する。
安全装置 圧力タンクには安全装置を設けること。
避雷設備 指定数量の倍数が10以上の製造所には、避雷設備を設けること。

 

地下タンク貯蔵所の基準

地下タンク貯蔵所の構造・設備の基準
掲示 見やすい箇所に屋内タンク貯蔵所である旨を表示した標識及び防火に関し必要な事項を掲示した掲示板を設けること。
建物・設置場所 地盤面下に設けられたタンク室に設置すること。
地下貯蔵タンクとタンク室の内側との間は、0.1メートル以上の間隔を保つものとし、タンクの周囲に乾燥砂をつめること。
地下貯蔵タンクの頂部は、0.6メートル以上地盤面から下にあること。
地下貯蔵タンクを2以上隣接して設置する場合は、1メートル以上の間隔を保つこと。
容量・タンク 地下貯蔵タンクは、厚さ3.2ミリメートル以上の鋼板で造るとともに、漏れや変形しないものであること。
外面には、さびどめのための塗装をすること。
通気管又は安全装置を設けること。
危険物の量を自動的に表示する装置(計量装置)を設けること。
注入口 液体の危険物の地下貯蔵タンクの注入口は、屋外に設けること
配管 当該タンクの頂部に取り付けること
消火設備 第5種消火設備を2個以上設置すること
検知管 地下貯蔵タンク又はその周囲には、液体の危険物の漏れを検知する漏えい検査管を4つ以上設けること
通気管 タンクに通気管を設ける。
屋外に地上4メートル以上の高さで設置する。

 

簡易タンク貯蔵所の基準

簡易タンク貯蔵所の構造・設備の基準
掲示 見やすい箇所に簡易タンク貯蔵所である旨を表示した標識及び防火に関し必要な事項を掲示した掲示板を設けること。
設置場所 簡易貯蔵タンクは、屋外に設置し、タンクの周囲に1メートル以上の幅の空地を保有すること。
ただし、屋内タンク貯蔵所の建物の構造、窓、出入口、床の構造等の設備に適合する専用室内の場合に設置することができる。
タンク専用室の壁とタンクの間は、0.5メートル以上の間隔を保つこと。
容量・タンク 簡易タンク貯蔵所に設置する簡易貯蔵タンクは、3基以内とし、同一品質の危険物の簡易貯蔵タンクを2基以上設置しないこと。
簡易貯蔵タンクの容量は600l以下であること。
簡易貯蔵タンクは、厚さ3.2ミリメートル以上の鋼板で気密に造るとともに、70kPaの圧力で10分間の水圧試験で漏れや変形しないものであること。
外面には、さびどめのための塗装をすること。
給油・注油設備 先端に弁を設けた全長5メートル以下のホースで、先端に蓄積される静電気を除去する装置を設けること。
通気管 タンクに無弁通気管を設ける。
地盤面から1.5メートル以上の高さで設置する。

 

移動タンク貯蔵所の基準

移動タンク貯蔵所の構造・設備の基準
表示設備 移動貯蔵タンクには、貯蔵、取り扱う危険物の類、品名、最大数量を表示する設備を見やすい箇所に設けるとともに、標識を掲げること。
車両に掲げる標識は、0.3メートル平方以上0.4メートル平方以下の地が黒色の板に黄色の反射塗料で「危」と表示し、車両の前後の見やすい箇所に掲げなければならない。
常置場所 移動タンク貯蔵所は、屋外の防火上安全な場所、または
屋内の場合は、壁、床、はり及び屋根を耐火構造とし、不燃材料で造つた建築物の1階に常置すること。
容量・タンク 移動貯蔵タンクは、厚さ3.2ミリメートル以上の鋼板で造るとともに、漏れや変形しないものであること。
移動貯蔵タンクのマンホール及び注入口の蓋は、暑さ3.2mm以上の鋼板または同等以上の材料で作る。
移動貯蔵タンクは、容量を30,000リットル以下で、内部に4,000リットル以下ごとに完全な間仕切りを設ける
間仕切により仕切られた部分には、マンホール及び安全装置を設けるとともに、容量2,000l以上のタンク室には、厚さ1.6ミリメートル以上の鋼板で造られた防波板を設けること。
外面には、さびどめのための塗装をすること。
移動貯蔵タンク及び付属装置の電気設備で可燃性蒸気が滞留する恐れのある場所に設けるものは、可燃性蒸気に引火しない構造とすること
移動貯蔵タンクは、70kPaの圧力で、圧力タンクにあっては最大常用圧力の1.5倍の圧力で、10分間の水圧試験で漏れや変形しないものであること。
マンホールや注入口等がタンク上部に突出しているタンクには、損傷防止のためにタンク両側の上部に側面枠、周囲に防護枠を設けなければいけません。
排出口 移動貯蔵タンクの下部に排出口を設ける場合は、排出口に底弁を設けるとともに、底弁を閉鎖することができる手動閉鎖装置及び自動閉鎖装置を設けること。
手動閉鎖装置には、レバーを設け、その直近にその旨を表示すること。手前に引き倒すことで閉鎖装置を作動させるものであること。
配管 移動貯蔵タンクの配管は、先端部に弁等を設けること。
接地導線(アース) ガソリン、ベンゼンその他静電気による災害が発生するおそれのある液体の危険物の移動貯蔵タンクには、接地導線を設けること。
自動車用消火器 2個以上設置すること

 

屋外貯蔵所の基準

屋外貯蔵所の構造・設備の基準
掲示 見やすい箇所に屋外貯蔵所である旨を表示した標識及び防火に関し必要な事項を掲示した掲示板を設けること。
場所 湿潤でなく、排水のよい場所に設置すること。
周囲には、さくや排水溝を設けて明確に区画すること。
柵等の周囲には保有空地を保有すること
架台 架台は、不燃材料で造るとともに、堅固な地盤面に固定すること。
架台の高さは、6メートル未満とすること。

貯蔵できる危険物

以下の危険物のみ貯蔵が可能です。

危険物の類別 品名
第2類危険物 硫黄または硫黄のみを含有するもの
引火性固体(引火点が0℃以上のもの)
第4類危険物 第1石油類(引火点が0℃以上のもの)
アルコール類
第2石油類
第3石油類
第4石油類(特殊引火物以外)
動植物油類