著作権法
著作物
著作権法において「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」と定義されています。
著作物の分類
10条で以下に分類されています。
言語の著作物 | 論文、小説、脚本、詩歌、俳句、講演など |
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音楽の著作物 | 曲など |
舞踊、無言劇の著作物 | 舞踊、ダンスなどの舞踊や無言劇(パントマイムとか手話劇)の振り付けなど |
美術の著作物 | 絵画、彫刻、漫画、書、工芸品、舞台装置など |
建築の著作物 | 芸術的な建造物(設計図は図形の著作物)など |
地図、図形の著作物 | 地図と学術的な図面、図表、模型など |
映画の著作物 | 劇場用映画、ドラマ、ネット配信動画、アニメ、ビデオ、ゲームソフトなど |
写真の著作物 | 写真など |
プログラムの著作物 | プログラムなど |
*ゲームソフトは一度購入すると権利が消尽します。
以下は11条、12条の著作物の追加説明
二次的著作物 | 上表の著作物(原著作物)を翻訳、編曲、変形、翻案(映画化など)して創作したもの |
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編集著作物 | 百科事典、辞書、新聞、雑誌、詩集など、複数の素材からなり、素材の選択又は配列に創作性があるもの |
データベースの著作物 | 編集著作物のうち、コンピュータで検索できるもの |
*二次著作物の利用は、一次・二次の双方の著作権者の許可が必要。
*編集著作物とDB著作物は、構成要素の素材自体は著作物である必要はありません。
これら素材の選択または配列のいずれかに創作性があれば良い。
*マンガやアニメのキャラクターは著作物に該当しませんが、絵自体は著作物。
*キャッチフレーズやスローガン、法令などは著作物に該当しません。
著作権と著作者人格権
著作物を創作するものには、著作権と著作者人格権が発生します。
映画の著作物の著作権者は全体的形成に創作的に寄与したものが著作者となります。
譲渡と消失など
著作権は、全部、あるいは一部を登録不要で譲渡可能。
*文化庁へ登録することで第三者への対抗ができます。
利用許諾はできるが、専用実施権の設定はできません。
死亡(法人の場合は解散)により消滅します。
また、放棄が可能。
著作者人格権は、著作者だけが持つことができる権利で、譲渡したり、相続したりすることはできません。
また、放棄が可能。
死亡により消滅します。
共同著作物の著作権
存続期間は最終に死亡した著作者の死後70年経過するまでの間。
他の共有者の同意を得なければ以下のことができません。
・持ち分を譲渡できません。
・自ら利用することができません。
・他人への使用を許諾することができません
著作権の種類
複製権 → 登録不要で出版権の設定が可能(設定後はその範囲での複製不可)
上演権・演奏権
上映権
公衆送信権・公の伝達権 → 登録不要で出版権の設定が可能
口述権 言語のみが対象
展示権 美術・未発行写真の原作品のみが対象
頒布権 映画のみが対象
譲渡権
貸与権 映画以外の複製物
翻訳権・翻案権など
二次的著作物の利用権
著作者人格権の種類
公表権
氏名表示権
同一性保持権
同一性保持権と翻案権
同一性保持権は、著作者の人格的利益を保護するための制度であるのに対し、翻案権は著作権者の財産的利益を保護するための制度。
同一性保持権
著作者人格権の一種であり、著作物及びそのタイトルにつき著作者(著作権者ではないことに注意)の意に反して変更、切除その他の改変を禁止することができる権利のこと。
翻案権
翻訳、編曲、変形、脚色、映画化など、もともとの著作物の特徴を活かしながら、別の著作物(二次的著作物)を創作できる権利
著作権の制限規定
一定の条件下で、著作権者の許諾を得ずに著作物を利用することができる。
・私的利用:個人的、あるいは家庭内で使用することを目的として複製。
・引用:公表された著作物は目的が正当な範囲であれば引用可能。
引用箇所が明確で、主従の関係が存在する必要がある。
職務著作
著作者人格権も法人が得る。
職務著作の成立要件
①会社の発意に基づく
②職務上の作成
③自社名義での公表(プログラム除く)
④特別な契約等の定めがないこと
著作隣接権の録音権・録画権でのワンチャンス主義
著作隣接権は、 著作物を公衆に伝達する役割を担う者に与えられる権利です。
著作権とは別に著作隣接権が認められています。
著作隣接権が認められるのは、実演家(指揮・演出者含む)・レコード製作者・放送事業者・有線放送事業者などです。
細かい権利は、それぞれ違います。
実演家が自身の実演の利用を許諾する権利については「その実演が最初に利用される時に限って」認める。
二次的利用への許諾については、最初に録音・録画を許諾する時に取り決める必要があるため、この原則を『ワンチャンス主義』と呼びます。
「録音権・録画権のワンチャンス主義」というと、録音・録画がワンチャンスと聞こえるが、実際は二次的利用の許諾についてのもの。
著作隣接権
実演家の権利
実演家人格権
氏名表示権
同一性保持権
*実演家は公表権を有さない
著作隣接権
録音権・録画権
放送権・有線放送権
送信可能化権
譲渡権(一旦許諾を得て譲渡された実演の録音物又は録画物の、その後の譲渡には、譲渡権が及ばない。)
貸与権(最初に商業用レコートが販売された日から1年に限られる。)
二次使用料を受ける権利
貸レコードについて報酬を受ける権利(販売された日から1 年を経過した後に貸与された場合に、貸レコード業者から報酬を受けることができる権利)
レコード製作者の権利
レコード製作者はレコードに最初に音を固定した者をいう。
送信可能化権
譲渡権(一旦許諾を得て譲渡されたレコードの、その後の譲渡には、譲渡権が及ばない。)
貸与権(最初に商業用レコードが販売された日から1 年に限られる。)
二次使用料を受ける権利
貸レコードについて報酬を受ける権利(販売された日から1年を経過した後に貸与された場合に、貸レコード業者から報酬を受けることができる権利)
放送事業者及び有線放送事業者の権利
再放送権・有線放送権、放送権・再有線放送権
送信可能化権
テレビジョン放送の伝達権、有線テレビジョン放送の伝達権
著作隣接権の保護期間
レコード その音を最初に固定した時点で開始し、レコード発行日の翌年から50年(例外あり)
放送、有線放送 その放送を行ったときの翌年から50年
著作権の侵害
侵害しているものだけでなく、侵害する恐れのある人にも差止請求権を行使できる。
刑事罰は、故意に侵害した者に限られる。
財産的損害だけでなく、精神的損害についても慰謝料を請求することができる。