動物臨床検査とは

2023年10月14日

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動物臨床検査とは?

検査と何が違うの?というと・・・

ただ検査っていうと医療以外のこともたくさんあるので、ざっくりとした感じだと、

医療系の目的で行なわれるものを臨床という言葉をつけて、臨床検査と呼んでます。

動物に対して行なわれる臨床検査を「動物臨床検査」と呼びます。

・・・アタマに動物って言葉がついただけなので、まあ、わかりますよね。

臨床検査とは?

 検査とは「ある基準をもとに,異常があるかどうか、あるならどの程度なのかを調べること」。

臨床検査とは、診療目的で行われる患者、傷病の状態を評価するための検査のことです。

おもに、物理化学的手法を用いて行われ、補助診断と呼ばれることもあります。

特に人に対して行われ、血液・尿・便などを調べたり、心音図・心電図などを測定したりする検査です。

人間の場合は、「臨床検査技師」が行なうことが多いです。

動物の場合は、獣医師動物看護師がその役割を担います

ある程度のガイドラインは存在しますが、法整備という点でも曖昧さが残っています。

 

どこまでが臨床検査?

病気の有無や診断を目的に行われる検査が臨床検査であるといわれることもありますが、その定義や範囲は曖昧です。

問診や視診・聴診・打診・バイタルサイン(体温・脈拍・血圧・呼吸数など)・身長体重測定・腹囲計測なども広い意味では立派な臨床検査ではある・・・

一般的には後述の分類でなされる検体検査・生体検査などが臨床検査と理解されています。

画像診断や病理診断も臨床検査に含まれることがあります。

ここがさらに微妙な境界線で、、、

超音波画像診断は臨床検査ですが、エックス線検査は臨床検査に分類されないケースもあります。

エックス線は放射線を利用するため、放射線技師さんのテリトリーだからかもしれません。

広義には臨床検査であることは間違いないですけどね!

動物の場合も基本的には同じですが、国家資格が獣医師と動物看護師しかないので、、、

検査=臨床検査 くらいの感覚が通用しちゃったりします。

臨床検査に含まれないことが多い検査は、、、

身体検査、画像診断、内視鏡、感覚器系検査、運動機能検査、心理・精神系検査 みたいです。

臨床検査技師のお仕事

臨床検査技師の役割は、医師の指示に従って検査を行うこと

臨床検査技師の仕事はかなり幅広く、採血、血液検査や生化学検査、輸血の適合検査、心音図や心電図、呼吸機能の検査などが代表的です。

病理学的検査、遺伝子検査、免疫血清学的検査も行ないます。

心エコー、腹部エコーなどの超音波検査も臨床検査技師の仕事です。

医師又は歯科医師の指示の下に、次の検査を業として行うことができる。

検体検査(微生物学的検査、免疫学的検査、血液学的検査、病理学的検査、生化学的検査、尿・糞便等一般検査、遺伝子関連・染色体検査)、および、厚生労働省令で定める生理学的検査。

ただ、臨床検査技師の独占業務はないらしい

名称独占資格だから、臨床検査技師を名乗らなければ、検査自体は誰が行なっても問題ないらしい。

一部検査は保助看法(保健師助産師看護師法)違反になりますが、看護師は全て実施可能で、ものによっては診療放射線技師や視能訓練士も実施できる。

・・・というと、たいしたことないように感じるかも知れませんが、やはり専門職。

特化した知識・経験・技術はやはり資格所有者のそれです。

 *個人的には、超音波検査、病理検査はすげー!って思います。

  特に、病理検査の中でも、細胞診とかは憧れる。

動物にたいしても、獣医師が実施できるのは、こういった背景があったりします。

動物看護師ができる範囲ってのはまだ曖昧な部分がありますし、法整備も遅れている感じはありますが、、、

国家資格化されて、徐々に業務範囲が明確化、広域化してますので、これからに期待♪

 

臨床検査の主な目的

検査の目的は人それぞれですが、、、

「健康状態を知る」「正常かどうか、異常はないか調べる」「異常の原因を調べる」「異常の程度、推移を調べる」「治療方針の決定に役立てる」「治療効果を確認する(効果判定)」などさまざまで,必要不可欠な情報です。

 

臨床検査の分類

臨床検査は、

心電図、エコー、MRI検査など患者さんの身体そのものを調べる「生理機能検査(生体検査)」と、

患者さんの身体から取り出した血液、尿、便、腹水、生体組織などを調べる「検体検査」の2つに分類されます。

生理機能検査(生体検査)

循環器系検査

心電図、心音図、脈波などを調べ、 心筋梗塞や心不全などの診断に利用。

脳波検査

頭皮に電極を装着し、α波やβ波などの電気的信号を 脳波計で記録して脳神経などをチェック。

眼底写真検査

眼底カメラで網膜を撮影し、動脈硬化や糖尿病などで血管系に 起こる変化をチェック。

呼吸機能検査

肺活量など呼吸器の機能測定を行い、レントゲンではわからない肺や気管、気管支の状態をチェック。

超音波(エコー)検査

身体に超音波を当て、 その反射波によって臓器や胎児の状態をチェック。

磁気共鳴画像(MRI)検査

身体に磁気を当て、共鳴エネルギーを 画像にして異常の有無をチェック。

熱画像(サーモグラフィ)検査

身体の表面温度をカラー画像化し、 熱分布を調べて患部などをチェック。

検体検査

尿・便などの一般検査

成分を調べて腎臓や肝臓の異常を検出したり、消化器の異常をチェック。

血液学的検査

赤血球や血色素から貧血の程度を、白血球の多さから炎症の程度などを把握。

生化学的検査

血液中の糖質、蛋白質、ビタミン、ホルモンなどを調べ、臓器の異常を把握。

免疫血清学的検査

免疫機能の状態を調べることで、身体に侵入した細菌やウイルスを特定。

微生物学的検査

採取した検体を培養し、病気を引き起こす細菌などの微生物を検出。

輸血・移植関連検査

輸血のための血液型検査や交叉適合、臓器移植のための臓器適合をチェック。

遺伝子検査

遺伝子を調べてDNAの異常を検出。

病理学的検査

身体の臓器や、その組織の一部あるいは細胞を顕微鏡によって観察し、悪性細胞などを発見。

人間だと、

生理学的検査(生体検査)

臨床検査技師等に関する法律 第2条に規定されている省令(臨床検査技師等に関する法律施行規則 第1条の2)により、18項目。

心電図検査  心音図検査 脳波検査 筋電図検査 基礎代謝検査 

呼吸機能検査 脈波検査 熱画像検査 眼振電図検査 重心動揺計検査 

超音波検査 MRI(磁気共鳴画像検査) 眼底写真検査 毛細血管抵抗検査

経皮的血液ガス分圧検査 聴力検査 基準嗅覚検査及び静脈性嗅覚検査 

電気味覚検査及びろ紙ディスク法による味覚定量検査

検体検査

臨床検査技師等に関する法律 第2条に規定されている省令(臨床検査技師等に関する法律施行規則 第1条)により、7項目(一次分類)。

微生物学的検査 免疫学的検査 血液学的検査 病理学的検査 

生化学的検査 尿・糞便等一般検査 遺伝子関連・染色体検査

 

検体採取

患者から検体を採取するところまでは医療行為とみなされる場合が多いです。

特に、侵襲(患者さんの身体にダメージがあるやつ)は要注意!

精通した臨床検査技師が検査に先立って採血などの検体採取から一貫して行うことが望ましいので、

臨床検査技師による採血および検体採取が一定条件下で行うことが認められている。(臨床検査技師等に関する法律第20条の2)

動物看護師についても同様で、、、

ある程度の業務はやっても良いけど、それ以上はダメという感じの区分がある。

明瞭に列挙してあるものもあれば、いまだ曖昧なものもある。

○ 獣医師の指導の下の採血

○ 獣医師の指導の下のカテーテルによる採尿

× レントゲン撮影

これから、よりきちんと区分けされていきそう・・・

検査と医療行為の境界線・・・違法?

生体検査、検体検査のうちで、特に注意しなければいけないのは違法行為です。

検体採取の項目で述べたように、検体採取の際に行われる採血は医療行為に該当します。

なので、誰しもができるものではありません。

相応の資格を持った人しかできないことになっています。

臨床検査のために検体を採取する方法には、、、

直接注射針を血管内、体腔内、臓器などに穿刺して得る方法、粘膜や体表、また患部などから体液をぬぐい取る方法、内視鏡検査や病変部を切り取る方法などがあります。

全部がだけかというと、そういうものでもなく、、、

大まかに言って、「患者さんの身体に侵襲を伴う行為」はだいたいNGです。

これは、医師・獣医師の元でならOKのものと、指示監督下にあってもダメなものがあります。

なんというか、境界不明瞭のものもあります・・・

一見侵襲的でないように見えるものも、違う法律の観点からNGな行為もありますので、どこまでが合法にできる行為なのか、確認が必要ですね。

特に、動物看護師は、資格が創設されて間もないので、要チェックです。

 

愛玩動物看護師が実施可能な診療補助行為

国家資格となったことにより、診療補助業務は、愛玩動物看護師資格を持つ人だけが実施可能な独占業務となりました。

具体的に、獣医師の指導の下で、以下のことが診療補助業務として広がりました。

採血投薬(経口など)

マイクロチップ挿入

カテーテルによる採尿

入院動物の世話

診断を伴わない検査 など

*獣医師が検査や処置を実施しやすいように動物の保定や、問診・体温・脈拍の測定は従来通り実施可能です。

 

臨床検査の実施という観点からは、今後動物看護師がその役割の中心を担っていきそうです!