検査についてのあれこれ

2023年12月1日

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臨床検査に関わる定義や用語をご説明!

実際に、これを理解していないとそもそも検査や結果がわからない。

でも、いまいちわかってないことが多いので、解説するのだ。

 *意図的に図を用いていないので、言葉だけの限界を感じたりします。

  適当にネット検索して、図表を参考にした方がわかりやすいことが多いので、適宜補完してね!

動物臨床検査とは

動物から採取した検体または動物の身体そのものを対象に、物理化学的な手法を用いて測定または観察を行なうこと。

 

検査における実施者の役割

動物看護師の役割

獣医師が実施する検査の補助を行なうこと!

または、獣医師の指導・指示のもと検査そのものを実施して、所見を得ることが役割です。

疾病の診断は獣医師の仕事であり、動物看護師が行なうものではありません。

診断に必要なデータを得るための臨床検査、その補助がお仕事です。

 

検査結果と診断

検査結果が直接的に診断結果ではない!

 ・・・ということに常に留意しなければならない。

検査結果が 陽性 と出たから、その病気ではない。

結果は重要な評価の一つではあるが、ひとつの判断材料であることを忘れてはいけません。

たとえば、、、コロナ陽性=コロナウイルス感染症ではないのです。

慣れてくると、検査結果を見て、ついついそれで確定診断としてしまいがち・・・

が、しかし! イコールではないことを常に念頭に置く必要があります。

むしろ、逆! 検査結果は常に疑ってかかるべき!

本当に陽性なのか? 本当にこの数字なのか? と。

検査結果見て、それで安直に判断するのは素人でございます。

プロはもう少し冷静に分析し、他の角度からも見ています。

 

定量検査と定性検査

定量検査

 「量」とあるように、数値で評価できるもの。

 物質がどれほどの量あるかを測る検査です。

定性検査

 「性」とあるように、性質を評価するもので、

 ざっくりと、陽性・陰性などのプラスかマイナスかを評価。

 正確な量は不明な場合が多く、あるかないかがわかる程度なので、「性質」がわかる程度です。

 

上記に加えて、中間のものがあります。

半定量検査

 「半」とあるように、定性検査と定量検査の中間。

 +、++、+++ のように、定性検査ほどではないが

 かといって、定量検査ほど厳密に数値化もできない。

 

定性検査が定量検査に劣るというわけではありませんが、、、

より数値化され、客観性が強いという点では定量検査の方が検査の信憑性は高いと評価されることが多いようです。

 

中央値と平均値、最頻値、最大値、最小値

データを見るときに、どこが重要かは検査次第です。

ただ、用語として覚えておきましょう。

意義とかについては、検査によって若干違いますので、そこは各検査のお勉強の際に確認しましょう。

 

中央値

データを大きさの順に並べたときに、ちょうど順番が真ん中になる値です。

大きい順ランキングで、9人の参加者がいたら、5番目の人の数字ということです。

 

平均値

テストの平均点とかでお馴染みですね。

データの合計をデータの個数で割って得られる値です。

特段説明は不要だと思いますので、平均としてご理解下さい。

 

最頻値

最も頻度が高い値(一番多く出現している値)です。

たとえば、 1 2 2 3 3 3 2 2 1 2 とかのデータがあったら、もっとも頻度が高いのは 2 となります。

なので、この場合の最頻値は 2 です。

 

最大値

最も大きい値。

説明不要だと思うので、割愛。

 

最小値

最も小さい値。

これも説明不要かな。

 

基準値と正常値、異常値、正常高値、正常低値

検査結果を見るときに、基準値(基準範囲)というのがあり、大雑把にいうと、そこに入ってるものを正常値、はみ出てるのを異常値という言い方をすることが多いと思います。

厳密にはそんなに単純ではないのですが、改めて解説を致します。

基準値

 一般的に、健常の検査値の95%としていることが多い。

 逆を言うと、健常値であっても、上2.5%と下2.5%は基準値から外される

 このことからわかるように、「正常なのに、異常値と見做される確率が5%ある」ということになる。

 これが基準値=正常値 でない理由の一つ。

 なお、基準値=正常値 ではないのだが、便宜上そういう表現をすることもある。

 というか、一般的にはそう表現されます。

正常値

 基準値に入っていることで、正常値ということもあるが、厳密には異なる。

 結果として正常であれば、正常値という判断をなされることがあるためです。

 これが、基準値=正常値ではないもう一つの理由です。

 言葉遊びみたいなものではあるのですが、ややこしいというか、誤解を生じることにもなります。

 なので、現在は、正常値という言葉はあまり使われません

 単純に、基準値ということがスタンダードです。

異常値

 基準値から外れていることで、異常値ということもあるが、厳密には異なる。

 これは、上の正常値と説明的には同じです。

 基準値から外れているものを異常値と呼びましょう!という定義はあるのですが、

 異常値=異常 ではないため、誤解を生みます。

 また、統計学では、外れ値の一つとされます。

 外れ値とは、研究や測定を行う際にまれに発生する極端に離れた異常な数値を指します。

 その中でも原因が分かる場合を「異常値」と呼んでいます。

 ちょっと、言葉としてはややこしいですね。

 定義が様々で、実体を表わしていない場合はやはり誤解・混乱をきたします。

 とはいえ、基準値から外れたものを異常値と呼ぶ というのが一般的なので、そのように理解しておきましょう!

 注意しなければいけないのは、異常値だからといって、異常だとは限らないということです。

正常高値、正常低値

正常高値(ノーマルハイ)、正常低値(ノーマルロー)と呼ばれます。

これは、基準値(基準範囲)におさまっているものの、範囲の中ではかなり高め(あるいは低め)というものです。

70点が合格だったとしたら、71点のぎりぎり合格みたいなイメージです。

基準値だけど、あやうく異常値だった・・・というものを呼びます。

結果としては、基準値内ですが、これを正常と判断するべきか・・・

ご想像の通り、「異常値予備軍」なのです。

いや、もうすでに異常かもしれません

なので、わざわざ正常高値(ノーマルハイ)、正常低値(ノーマルロー)と呼んで区別しています。

①パターン

 先生「結果どうだった?」

 看護師「基準値でした」

 先生「ありがとう!」

②パターン

 先生「結果どうだった?」

 看護師「基準値内ではあるのですが、ノーマルハイでした」

 先生「要注意だね。追加で別の検査もしてみよう」

違いがおわかりかと思います。

陽性(真陽性) 陰性(真陰性) 偽陽性 偽陰性

検査に対して「反応があるもの」を陽性という。

逆に、「反応がないもの」を陰性という。

通常、陽性対照群(コントロール群)と合わせて検査を実施する。

絶対に陽性と出るコントロール群が反応ないというのは、手技が間違っているか、検査機器などがおかしい。

検査がちゃんと実施されているかどうかの指標となる。

対になるモノとして、陰性対照群(コントロール群)もあるにはあるけど、普通は陽性コントロール。

・「陽性」で「正答」(疾患がある) ものを「真陽性」

・「陽性」で「誤答」(疾患がない) ものを「偽陽性」

・「陰性」で「正答」(疾患がない) ものを「真陰性」

・「陰性」で「誤答」(疾患がある) ものを「偽陰性」

 

正確度(正度)と精度

正確度 (accuracy) と精度 (precision) はどちらも結果を評価する尺度です。

正確度は、結果が真の値あるいは既知の値にどれだけ近いかを評価します。

それに対し、精度は、結果がお互いにどれだけ近いかを評価します。

 

再現性

再現性(reproducibility)とは、同一の特性が同一の手法により発現するとき、その結果の一致の近さのことです。

実験条件を同じにすれば,同じ現象や同じ実験が同一の結果を与える場合,再現性があるという。

精度が高い場合は、再現性が高いこととなる。

 

感度と特異度

「感度」は、病気の人を検出する力を示します。

「特異度」は、病気でない人を検出する力を示します。

 

感度:陽性 ÷ (陽性+偽陰性)

特異度:陰性 ÷ (陰性+偽陽性)